パーキンソン病は寡動、振戦、固縮などの運動症状が主症状であることは有名であるが、自律神経や認知機能低下などの非運動症状もしばしば見られる。これらの非運動症状は運動症状に先行することもあり、早期から非運動症状を合併した場合には運動症状の進行が速いとする報告もある[1]。視力障害も非運動症状の一つであるが、パーキンソン病の進行との関係ははっきりしていなかった。しかし近年、韓国の全国調査では、視力障害を認める患者はパーキンソン病進行と関連し、運動症状の進行以前にみられる病状の一つである可能性が示唆された[2]。さらに、パーキンソン病患者では網膜の菲薄化、網膜神経線維層の進行性変化が見られるといった報告もある[3-5]。しかし、パーキンソン病は慢性経過で進行を呈する疾患であるため、長期的な観察が必要で、これまでの研究は不十分な観察期間であった可能性がある。視力低下は認知機能の低下とも関連しており[6]、様々な因子が複合的にパーキンソン病の進行に関わっている可能性を考慮しておく必要がある。... 続きを読む